手なし娘(アクロトモフィリア、インセスト・タブー)
人里はなれた小屋に夫婦と娘が住んでいた。
娘が美しく成長すると、父は娘と二人だけで暮らしたくなり妻を殺した。
そして、娘と関係を持とうとするが抵抗される。
父は娘の両腕を切断した。
娘は傷がいえてきたころ、隙を見て生家を逃げ出した。
さ迷い歩いているうちに果樹園を見つけ、梨にかじりついて飢えをしのいでいた。
しかし、果樹園の持ち主の王様に見つかり城へ連れて行かれる。
王様は美しい手なし娘の世話をしているうちに、気に入ってしまう。
王の母はひどく反対したが、手なし娘は王様と結婚し后(きさき)となった。
それからすぐに后は妊娠したが、王様は遠くに戦(いくさ)に出ていった。
やがて后は子を産んだ。
王の母は、ひどく醜い子が産まれたとウソの手紙を王様に送った。
王様は手紙を読み悲しんだが、自分が帰るまで妻と子の世話をたのむと返事を返した。
王の母は、「后と子供を殺し、証拠に目玉と舌を取っておけ」と手紙を書きかえた。
残酷にも王の母は、生きているうちに、まず后の両目玉をくりぬき舌を切らせた。
その後、殺すように命じたが、家来によって、后は子供を負ぶわされ城の外に逃がされた。
手なし娘と子はさ迷っているうちに乞食になったが辛うじて生きていた。
やがて、王様が戦から帰り、目玉と舌を見ると、怒って母を火あぶりにした。
何年かして、狩に出た王様は偶然に手も眼も舌もない乞食女と子供を見つける。
王様は二人を城に連れて帰り、いつしか子供は次の王になった。
この子が自分の実の父の子だと知っているのは手なし娘だけだった。
<< HOMEへもどる >>